BOYS AND MEN「どえりゃあJUMP!」MV監督 島田欣征氏のインタビューを公開!

BOYS AND MEN「どえりゃあJUMP!」MV監督 島田欣征氏のインタビューを公開!

つんく♂プロデュース作品であるBOYS AND MEN「どえりゃあJUMP!」のミュージックビデオを手掛けた島田欣征監督のインタビュー動画が、つんく♂エンタメ♪サロン限定で公開されました。

通常ではオンラインサロン内でしか見られないコンテンツなんですが、今回は特別に「インタビューの書き起こし」を公開することになりました!

ボイメンファンの方も、ミュージックビデオを見て気になっていたという方も、ぜひ最後までご覧ください。

島田欣征監督インタビュー

ー 楽曲を聞いた感想はいかがでしたか?

すごいエネルギッシュで明るくて楽しい曲だなと思いました。

ー つんく♂さんのセルフライナーノーツに、スピード感とメジャー感を感じる監督の中から島田監督を選ばれたと書かれていますが、普段から「スピード感」「メジャー感」というのは意識されていますか?

スピード感に関しては僕の好みというか、激しいものとか荒っぽいものか、男らしいかっこいいものとか結構好きだったりするので、カメラが激しく揺れるようあえて手持ちにしたりしました。おしとやかな映像の取り方では物足りなかったりするので、ダイナミックな演出を入れたがるところが結構ありますかね。

メジャー感っていうのは僕の性格があるのかなって思うんですけど、世の中に公開する時点で予算がそれなりにあったりセンスがすごい物と同じ場所に並んでしまうので、お金や時間を言い訳にするわけにいかないし、そういうのも悔しいっていうのがあって。

プロに見劣りしないためにも何かできることないかなとか、クオリティ向上で自分の未熟な点がありながらも争っているところにメジャー感が現れてるのかなと思います。

ー つんく♂さんのからのMVコンセプトはどういった内容でしたか?

スペーシーっていうところと、スケールは壮大に王子様感であったりきらびやかなところ。あと自分的には大気圏の外側に君をエスコートみたいな、逃避行っていうようなワードが結構頭に残っていたので、その辺が今回スクリーン映像とかグリーンバックとか背景のCGのデザインに反映されてたりします。宇宙空間のCGは自分でやったんですけど、コンセプトとかキーワードを軸にして採用するようにしてました。

ダンスシーンの後ろのスクリーンに「宇宙の惑星」とか「ワープ感」とかを表現してたんですけど、編集してみた段階でこれだけだとまだちょっとスケール感が足りない、そのオーダーに答え切れていない気がしたので、編集途中で冒頭の宇宙船と最後の地球のカットを急遽自分で作ってみた感じですね。

いらないとか怒られたら引っ込めようかなぁくらいの感じだったんですけど、あのカット入れることでダンスシーンが宇宙船であるという「場の説明」にもなっていて。今までの空間からもう一歩外に広がったような意味では、ちょっと手間だったり尺が伸びたりっていうのもあったんですけど、入れて効果はあったかなぁと思っています

ー つんく♂プロデュースでMVを作られて、いつもと違った点や刺激的な点はありましたか?

リップシーンが特徴的というか、撮り方の注意すべき点とか、そういうところを学べたと思ってます。

あとは編集中に特に感じたんですけど、体感というか楽曲が映像を引っ張ってくれるところが多数あって。この音にはこのカットが必要だなとか、ここはこの映像がしっくり来るなっていうところがたくさんあって、曲作りの段階ですでにMVのことを考えているのかなと感じました。

気持ちのいい瞬間に鳴っている音はハイハットなどのリズム楽器だったりするんですけど、その音の特徴的な部分、アクセントが際立つところがあるとそこに合わせてカットを切り替えたり。そういう部分はたくさんありました。

今回つんく♂さんと初めてお仕事させていただいて、頭ごなしに「ああしろ」「こうしろ」というところはなく、考える余地というか余白を残してくれているところがあったので、そういう意味ではそこを自分のクリエイティビティで何か返さないとな、とか思ったりしました。良いパスもらったからシュート決めなきゃみたいな。僕もディレクターで人に発注する立場でもあるので、そういう仕事のやりやすさとか相手の能力の引き出し方っていうのは見習いたいなと感じました。

修正点も指示が明確でしたしきちんと理由を添えてくれているので納得した上で取り組めましたし、作業者しかわからない事情もあるので「こういう理由ならこうしますね」って代案も提案できたりとか。つんく♂さんが作り手の状況を理解して下さってるからこそ、とても気持ちよく仕事できた印象があります。

ー <つんサロメンバーからの質問> 今回はクラブを使っての撮影だったようですが、照明さんのこだわりなどあれば教えてください。

スペーシー感というのを一番大事にして、宇宙船の船内みたいな世界になればいいなと思ってました。フロアの段差などの直線を感じるような線を生かしたり、直線的な照明を仕込んで未来感を感じるようなビジュアルを作って欲しい、と照明さんに相談しました。

クラブハウスって、真っ暗な空間で照明が光ったり明るいディスプレイがあったり、空間自体がかっこいいところもあるんですけど、今回はメンバーを明るく撮らなきゃいけないので、ベースの照明を前から当てる必要があるんです。そうすると壁やセットの裏側の部分などの見せたくない部分が見えてしまうので、特に左右一番奥の何もコーナーを隠したいと照明の大手さんに相談したら、あえてそこに光源を置いて目くらましで隠すというアイデアを提案していただきました。

その照明の配置も目くらまし効果のみではなくデザイン的に置いたりとか、元々クラブにある備え付けのメタリックな椅子ってソファーのようなものがあるんですけど、ソファー感を目立たせる必要はないんだけどもメタルな部分をひきたてようっていう意味で、実はそこに照明を仕込んでもらったりとか。こういった照明の配置は大手さんのアイデアですね。

曲に合わせた照明の展開は、例えば「イントロは青・白系で」とか「サビはレーザーを入れてカラフルにしてください」とか「ラストは一番ド派手にしてください」っていうパートごとにざっくりとしたオーダーを出して、あとは後ろのスクリーン映像に合わせて色味・流れ・タイミングを合わせてくださいという具合にプランをオーダーしました。

ー <つんサロメンバーからの質問> 振付のフォーメーションと、MVのカメラワークで、どのメンバーをどのシーンでセンターにする、などの割り振りの決め方を教えてください。

基本的には立ち位置の調整はあまりしなくて、振り付けのポジションをそのまま生かしました。ダンスリハの映像を何度も見て、「この振り付け・このフォーメーションはここのアングルからがいいかな」とか、何回もカメラマンと相談しつつ僕なりにオーダーを出しましたね。

オーダーの例としては「ここはしゃがむところがあるのでローアングルにカメラを構えておいて」とか「ずらっと並んでカメラは一緒に流れるように動いてウェーブ感を出そう」とか「3人→3人っていう順々にカメラの前に出てくるようにウェストアップでカメラを構えて待っておこう」とか。

あとはメンバーの体力的にも時間が限られていたので、その中で効率的な撮り方を検証しながら撮りました。

編集に関しては映像の美しさとかメンバーのパフォーマンス・表情が一番良く見えるカットを優先的に選ぶようにしていて、それ以外の箇所であんまりしばらくこのメンバー出ていないなというところを「じゃあ他にいいカットないかな」とか、バランスを気にしながら編集していってますね。

なので演出的にここはこのアングルが欲しいって思っていても、そのときのパフォーマンスや撮れ高があんまりよくなかったらそこはもう使わないようにして、見た目の良さや勢いといったインパクトを重視して使っています。

ー MVの見所を教えてください。

個人的には編集が一番気に入っていて、我ながらうまくいったかなって思っています。かなり刻んで荒っぽい編集なんですけど、実は緻密に自分なりに計算して作ったつもりでいて。ポイントとしては「同じカットを長く見せすぎない」ように意識して編集しています。

全部見終えてしまうと頭が違う事を考えてしまったりとか、そろそろ認識し終わるかなっていうところからほんのちょっとだけ短くすることで、どんどんどんどん前のめりになるというか。食い気味にカットが流れてくることで意識が繋ぎとめられるかなと思ってどんどん畳み掛けるようにしました。

後半になればなるほど速くしているつもりですけど、外食でもお腹いっぱいとか味が飽きちゃうと、後半苦痛になってきますよね。そうならないように、腹八分目で抑えておいしい記憶だけ残ってまたあの店に食べに行きたいなって思うような、潜在意識に訴えかける編集になるように心がけていますね。

楽曲とダンスも跳ねるような元気いっぱいな感じなので、映像も跳ねるような編集にしようと思って、メンバーの振りにカメラワークを合わせて「こう来たからこうかな」とか、引き・寄りを緩急をつけるようにとか、映像で演奏するようなイメージで編集してみました。

あとダンスとか曲もそうなんですけど、この流れでここで来て欲しいって瞬間にバーッてくる気持ちよさってあると思うんです。そういう阿吽の呼吸を映像でも表現して、ピタッとハメるところはハメるっていう、そういう気持ちよさを感じるところはたくさん作っていて。

逆にそれが一定のテンポでずっと来すぎたりしても予測できてしまって退屈になるので、そこから少しだけワンテンポずれますとか、裏拍を入れてみるとか。時々サプライズ的な要素というか、規則性の中に不規則な「良いノイズ」を足すことで予期せぬことが新鮮になって、飽きないように仕掛けををところどころに入れて、 5分のミュージックビデオを長く感じないようにいろいろ工夫してみたつもりではあります。

ー つんサロメンバーの皆様にメッセージをお願いします。

今回ご一緒させていただいて、つんく♂さんの作品作りの姿勢やこだわり、作品への愛情が感じられて、とても刺激的でした。

もの作りに関わるいろんな方々の共通言語があると思うので、このミュージックビデオに関わった様々な職種の方の細かなこだわりや視点があります。そういう意味でも、もの作りをする皆さんの参考になれたらいいなと思ってますので、ぜひミュージックビデオを見てみてください。ありがとうございました。

島田欣征監督の公式サイト
ewiys

「どえりゃあJUMP!」ミュージックビデオ

今回ご紹介したインタビューの書き起こしをご覧いただいた上で、ぜひBOYS AND MEN初となるつんく♂プロデュース楽曲「どえりゃあJUMP!」のミュージックビデオをご覧ください。

こちらの楽曲は、2021年1月27日に発売されたBOYS AND MENのニューアルバム「BOYMEN the Universe」に収録されています。